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“警告ラベルがわかる!” 安全規格講座 「第5回 警告ラベルをデザインする!(Part2)」
2014年2月4日発行
はじめに
前回は、警告ラベルの構成要素のうち「シグナルワード」と「文字メッセージ」について説明しました。今回は、引き続き「シンボル」「フォーマット」「規格」についての説明をします。
「シンボル」について
「シンボル」とは、特定の安全メッセージを伝えるために使用する図式表現です。
通常は、以下の内容を表現します。
- 危険の性質
- 危険にあった場合に起こり得る結果
- 危険を回避するための行動
●シンボルの外形
外形には以下の3種類があります。識別の内容に応じて、記号や絵図を適切な外形の中に入れる必要があります。
①「危険」の外形 |
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②「禁止」の外形 |
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③「強制」の外形 |
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●図記号の規格
シンボルに使用する図記号は、それを見たほとんどの人が同じイメージを認識できる必要があります。
例えば、下図のような「障害物によるつまずき」の注意を意味する図記号を作成したとします。
しかしこの絵は、人によって「進入注意」に見えたり、「安全靴」に見えたりします。
このような不確実な情報伝達によるリスクを避けるため、ISOなどの国際規格では、理解度試験の結果が“正解85%以上、かつ重大な取り違いが5%以下”※といった規定を設け、国際標準化を行っています。
※ISO 9186(図記号-試験方法-第1部:わかりやすさの試験方法)より
もちろん、どの規格でもオリジナルの図記号の作成は認められていますが、その場合は適切な理解度試験を行い、誤認識が最小限で安全上問題が無いという証明をメーカーサイドで行う必要があります。
しかし通常、ほとんどのメーカーは、そのような予算や時間はかけられません。
では、どうすれば良いのでしょうか?そのような場合は、ISO 7000、ISO 7001、ISO 7010、ISO 3864などの国際規格に掲載されている図記号の中から、該当する意味合いのものを探します。
例えば、前述の「障害物によるつまずき」の場合は、ISO 7010にある次のような“Warning Obstacles”の図記号を使用します。
なお、国や業界によって図記号の適用規格が異なるため、全てISOに準拠していればよいとは限らないので、注意が必要です。(後述の「警告ラベルの規格について」参照)
フォーマットについて
警告ラベルは基本的に、前述の「シグナルワード」、「本文メッセージ」、「シンボル」の3つ以上の区画で構成します。
これらの区画を組み込んだ横形と縦形の構成例を、以下に示します。
警告ラベルの規格について
●安全標識の規格
「図記号の規格」で説明したように、メーカー独自の警告ラベルはリスクを伴うとともに、コストも掛かります。
では、世界にはどのような警告ラベルの規格があるのでしょうか。
それらの一部を紹介します。
使用地域 | 規格 | 内容 |
---|---|---|
北米 | ANSI Z535 | 米国国家規格:安全標識・警告ラベル基準 |
欧州 | EN 50419 | 指令2002/96/EC(WEEE)の第11(2)に従う電気・電子機器のマーキング |
IEC 60417 | 機器・装置用図記号 | |
IEC 60825 | レーザ製品の安全性 | |
IEC 61310-1 | 機械類の安全性―表示,マーキング及び作動 | |
ISO 3864 | 図記号 安全色及び安全標識に関する規格 | |
ISO 7000 | 機器に用いる図記号 | |
ISO 7001 | 図記号 一般案内用図記号 | |
ISO 7010 | 図記号 安全色及び安全標識 | |
日本 | JIS C 6802 | レーザ製品の安全基準 |
JIS S 0032 | 高齢者・障害者配慮設計指針 視覚表示物 日本語文字の最小可読文字サイズ推定方法 | |
JIS S 0033 | 高齢者・障害者配慮設計指針 視覚表示物 年齢を考慮した基本色領域に基づく色の組合せ方法 | |
JIS S 0101 | 消費者用警告図記号 | |
JIS T 0103 | コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則 | |
JIS T 0901 | 視覚障害者の歩行・移動のための音声案内による支援システム指針 | |
JIS T 0921 | 高齢者・障害者配慮設計指針 点字の表示原則及び点字表示方法 公共施設・設備 | |
JIS T 0922 | 高齢者・障害者配慮設計指針 触知案内図の情報内容及び形状並びにその表示方法 | |
JIS T 9251 | 視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列 | |
JIS Z 8210 | 案内用図記号 | |
JIS Z 9101 | 安全色及び安全標識 産業環境及び案内用安全標識のデザイン通則 | |
JIS Z 9103 | 安全色 一般的事項 | |
JIS Z 9104 | 安全標識 一般的事項 | |
JIS Z 9107 | 安全標識板 | |
中国 | GB 2893 | 安全色 |
GB/T 2893 | 図形記号、安全色など | |
GB 2894 | 安全標識と使用ガイドライン | |
GB 18030 | 中国語文字コード集(フォントに関する要求) |
上記以外にも、家電製品協会やSEMI スタンダードなど、業界で制定されている表示関連規格をはじめ、さまざまなものがあります。まずは、対象となる製品がどの規格に該当するかを十分に調査した上で作成する必要があります。
●規格による違いの例
下表は、電気的危険の警告ラベルを規格別に作成した例です。
規格タイプ | サンプル | 説明 |
---|---|---|
ISO・IEC | シンボルはISO 7010、ISO 3864-1、IEC 61310などに準拠したものを使用します。 シグナルワードはISO 3864-2の規定に従います。 |
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SEMI | ほぼISO・IECタイプと同様ですが、「Reorder No.」が必須となります。 |
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ANSI Z535 | シンボルはANSI Z535.3から引用。 ※ANSI Z535では、感嘆符を使用する場合に限りシンボルに三角形を使用します。 |
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家電製品協会 | 「家電製品の安全確保のための表示に関するガイドライン」では、図記号の背景色は「白系統色が望ましい」とされています。 |
なお、シンボルや最小文字サイズなども規格によって異なりますので、注意が必要です。
次回は、国や地域によって異なるルールについて説明します。
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第3回
警告ラベルの内容を決める! -
第2回
PL法と警告ラベル -
第1回
警告ラベルはなぜ必要?
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無料のマニュアル診断も承っておりますので、ぜひご活用ください。
この連載記事は、お客さまの警告ラベルへの理解を深め、ご活用いただくためのものです。この内容に基づいて生じた事故や損害について、当社は一切の責任を負いません。あらかじめご了承ください。